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航空宇宙工学教育の実践
本専攻の教育目標は、
- 工学および航空宇宙学の基礎教育を充実する。
- 創造性を有した学生を育成する。
- システム統合化能力を教育する。
の3点に要約されます。これらの目標を達成するため、本専攻の教育内容は次のように特色のあるものとなっています。
本専攻の特色は、航空機、宇宙機、宇宙往還機、推進装置をはじめとする先端ハードウエアやデバイスのイメージを学部から大学院へと一貫したカリキュラムに活かしていることです。
学部教育の締めくくりとして、卒業論文に加えて、卒業設計を課す狙いもそこにあります。専攻では、産業界や研究機関で開発・設計の第一線で活躍する専門家の方々を非常勤講師として迎え、複数の専攻教員も加わって設計および図面の指導を行います。
卒業設計に取り組む過程で、学生は、習得した知識を尽くして、自分のアイデアを設計図として具現する訓練を初めて受けます。まさに、学生にとっては、総合力を問われる試練です。一方、専攻教員にとっては、講義で教えた学生の理解度や習熟度を目の当たりにする訳で、自らの講義内容を自己点検し反省する機会です。設計・図面指導を行う専門家を含めたチームティーチングを通じ、最新の技術動向を知り、講義に反映させるなど、教授法向上(FD : ファカルティディベロップメント)の取組みでもあります。
機体やエンジンの設計図に描かれる曲線の一つ一つが力学的、熱的、構造材料的な裏付けを持つことに気付くころ、学生は卒業を迎えます。そうした伝統的とも言える設計実習に加えて、最近では、宇宙システム分野でのミッションを提案するといった、概念設計に創造力を発揮する例も増えています。その場合には、図面としての労作より、人一倍のアイデアと合理的な綿密性が学生に求められ、ソフトウェアを重視した評価が行われます。
本専攻では、ハードとソフトの両面が大事と考えており、どちらかを強制する姿勢はとっていません。
専門に閉じ込めた教育を狙うことは学部の段階では望ましいことではなく、航空宇宙を題材として、複雑なシステムを概念設計し、制作操作を思考するという人類普遍の科学的な営みの部分を習得し、分析と統合能力を磨いてもらうことに教育の意味を求めています。
さらに本専攻では、将来問題検討委員会を組織して、より効果的な教育を実践するための計画を策定しています。
専攻に進学してきた学生が"来てよかった"と卒業してゆくのを目指すことは云うまでもありません。そのためには、
- 1. カリキュラムが硬直化しない工夫、
- 2. 教育とつながる基礎研究、
- 3. 研究教育環境の充実、
- 4. 院生の待遇改善、
- 5. 学会活動や共同プロジェクト推進
など、専攻内外の専門意識の昂揚に努力し、その勢いを、
- 6. 学生の自主的ものづくり活動支援
(例えば、人力飛行機、超小型衛星、小型飛行機、エコスマートエンジンなど)
へ向けるという当面のアクションプランを掲げています。
日本の航空宇宙分野は基幹産業を形成する規模をもたないため、逆に、本専攻出身者は産・官・学の広い分野に散在し、企業のプロジェクトマネージャーとして手腕を発揮したり、パイオニアとして君臨したり、異彩を放つ起業家であったりと、その活躍は変化に富んでいます。
そうした模範となる鋭いスペクトルを出来る限り多く出現させることは、宇宙飛行士を生むことに勝るとも劣らないでしょう。


ライトフライヤー,1903年初飛行. (CG)

M-Vロケット (CG)

卒業設計(設計・図面審査風景)
外部専門家講師と専攻教員のチームティーチング
進学振分けの定員について(2012年度実績)
第1段階選抜 定員:理T 36名、理UV 1名
第2段階選抜 定員:理T 15名